2011年12月

2011年12月22日

喪主


親が死んでも悲しむ間もないんだなと、
喪主を務めて実感した。


病院で死後一時間もしないうちに、
葬儀についての話が進行する。

闘病中も何度もキツイ選択をせまられたが、 
キツイなんて逃げてる時間もないのだ。

お金の事、葬儀の事、書類上やっておく事・・
決定事項だけでも、日常の仕事量をはるかに上回る。

故人が望んでいた家族葬にした。


父と親しい方、僕と親しい方、
連絡していなかったと気を悪くしないでください。 

誰にも報告してないんです。

話の成り行き上、関係性上、
何人かに知らせ知れ渡った事もあり、
予想外の通夜となりましたが、
結果的に多くの人に送ってもらえて良かった。 


喪主なんてもうしたくないけど、自信はつきました。

整理しないとダメだけど、
大体の流れや仕事については把握できたと言えます。

戒名が要らないとか、散骨してくれとか、
その辺については、坊さん泣かせでこれからの話なんだけど。


関係者につきましては、事後報告で申し訳ありません。
 
もしもお心だけでもいただけるなら、
メールやお手紙でメッセージください。

父に伝えておきます。


母にも頼まれてるのですが、
せめて喪主からの挨拶だけでも、
文面にして葬儀に来れなかった人に渡したいと。


葬儀社から挨拶文のひな形ももらったし、
奥さんに考えてもらったりもしたんだけど、

やっぱりしっくりこなくて、
通夜の晩に20分で書き上げた挨拶文。


普段、こんなブログでも書いてると役に立つものですね。
気持ちを文章にする作業に慣れてます。



以下、挨拶文です。


遺族を代表いたしまして、一言ご挨拶を申し上げます。

本日は師走のお忙しい中、又大変寒い中、
父、一宏の葬儀にご会葬いただき、
誠にありがとうございました。

故人も遺影の様な照れ笑いで喜んでいる事と思います。

突然の訃報で皆様を驚かせてしまい、
大変なご迷惑をおかけしてしまいましたが、
この度につきましては、
本人が一番驚いている事と思います。

約2ヶ月間の入院、
苦痛をともなう辛い闘病生活でありながら、
最期まで弱音を一切はかず、
退院するつもりでおりましたので、
皆様にも連絡を控える様にと言われておりました。

自分の病状や治療方針についても常に探究心を持ち、
お医者様や看護士の方々に質問したり、
我々家族に対しての配慮も忘れずにいてくれました。

お医者様の話では、
常人ではそんな事が出来る状態ではなかった程に
苦しかったはず。との事でした。

気丈に生きる精神や最後まで希望を持つという
勇気を教わった気がします。

又、一日も欠かさず献身的に父を支える母を見て、
夫婦の絆について学ぶ事の多かった時間となりました。

個人的に残念だった事は、
昨年、今年と続けてきた
家族旅行へ誘えなくなってしまった事、
食べたいと言っていた蕎麦を食べさせてやれなかった事です。

嬉しかった事は、
入院中に個展の成功を報告出来た事、
新しい友人、知人が増え、
仕事の幅も広がっている事を喜んでくれ、
好きだった工芸の話が出来た事です。

遺された母を支え、
今後も精進してまいりますので、未熟者ではございますが、
故人同様、
ご指導ご鞭撻たまわります様お願いいたしまして、

長男 塊よりのご挨拶とさせていただきます。

本日は誠にありがとうございました。


平成23年12月18日
 






闘病中も、亡くなってからも、
人前で涙を出すまいと気を張ってたんですけど、
 
文章を声に出すと感極まってしまいました。
自分で作った文なのにね。

多数の献花、ご会葬、弔辞をありがとうございました。 

弟の嫁さんたちも僕の奥さんもよく頑張ってくれました。
皆、クタクタだったもんね。

精神的には限界超えてたもんね。

すべての人に感謝します。 



心優しい人間ばかりが周りにいてくれて幸せです。














 



studioenju at 04:02|Permalink

幾日にもわたる激闘だった


12月15日早朝、たった一人の父が病院で亡くなった。 


成り行きやタイミングで一部の人には話していたが、
約3年前からの闘病だった。 

入退院、検査の繰り返し。

重い病気だったので、もってあと数年と言われてた。


不思議と自分の節目節目のタイミングで病院へ運ばれ、
気持ちがザワザワする中、
目の前の仕事をしっかりと進める事の連続。

自分が試されてるかの様だった。

3年前は個展の前日、
昨年は他府県でのイベント開催中、
最後も個展の前日。


約2ヶ月前、
いよいよ危ない形での入院となった。


個展期間中は、
色んなプレッシャーで心が拉げてしまいそうだったが、
心のど真ん中にしっかりと重心を置いて過ごした。

この2ヶ月間、
親父はキツかったと思う。

痛い検査の連続、
24時間、苦しい状態が続き、
孤独なICU暮らし。

3ヶ所のICUを転々としながらも、
苦痛について弱音を一切吐かなかった。

家族の面会時間なんて一瞬だったんだろうな。

24時間、何本もの管に繋がれ、
機械の音を聞きながら、
病室の天井を見て何を思ってたんだろう?


献身的に看病する母へ対するケアも心掛けた。
2人を外から見るだけで泣けてきた。


大きな手で何度もドツかれ、
本気で投げ飛ばされ、
殴り合いの喧嘩もした父親が骨と皮だけになっていく。

2ヶ月、何も食べれなかった。


病院では色々と話した。

仕事の事、家の事、これからの事。

ひとつ約束した。

「もしもの時は、全部僕に任せといて。」
心配なんて何もないでしょ?


その通りといった表情で、

「頼もしいな」



僕が今まで歯をくいしばり、
自分の足で生きてきた事の結果が出た瞬間だった。


完全なる「自立」だ。
親に「頼もしい」と思われたのだから。


でも、親父は最期まで病院を出るつもりだった。
出てくる言葉は出てからの話。

僕らを気遣う言葉。

最後の会話も仕事の話だったし、
別れ際も「又な」
だったもんな。

ファイティングスピリットに溢れてた。
そんな状態ではなかったのに。


14日の朝、今晩がヤマだと家族が呼び集められた。
全員でベッドを囲んだ時には意識が昏睡していて、
もう話せなかった。

とても苦しそうで見てられない者もいたが、
最期の呼吸は家族全員で看取った。


苦しかったね。
本当にお疲れ様。

僕たちは大きな「重り」を失った。
何をしていても良い意味、悪い意味、両方含めた、
「重り」の様な父のプレッシャー。

黙っていてもすべてを見透かす人だったから。


その代わり僕たちは「お守」を得た。
どこにいても、何をしてても父の魂と共に。


親父、
ここまでやれてる自分たちは親父の魂。

自分を、家族を、親父を誇れるよ。
本当だよ。


「言い訳するな」
って何度言われたっけかな?

2ヶ月の闘病、この一週間のバタバタで
年内の仕事が大変になったやんか。

言い訳せんと頑張らんとね。

しっかりやってるよ。


残された母は随分と小さくなってしまったよ。
アカンやん、あんな人を遺したら。

でも、任せとき。
俺らに任せとき。



俺はもう無敵だよね。


だって、
この2ヶ月間で僕は、
「人生」の全部を目の当たりにして、
わからない事なんて何ひとつ無かったから。

不思議なんだけど、
親父の駆け抜けた64年間が見えたんだよ。


親父、
見ててよ、俺はもっと強くなってさ、
もっと優しくなってさ、
そっちに逝った時にはおもしろい話が出来る様に、
毎日を楽しむよ。


皆、笑って過ごしてたろうけど、
親父の闘病期間、ずっとキツかったと思う。

家族のみんなも、お疲れさん。
僕も80点はもらえるんじゃないかな?


親父には100点あげるよ。 


64年前、親父が産まれた事に感謝。
38年間、見守ってくれた事に感謝。


最期まで勇気を与えてくれてありがとう。 



そっちで水季と仲良くやって待ってて。 




本当にありがとう。




 


studioenju at 02:59|Permalink

2011年12月13日

バッハとフルートと僕の器。


簡単に話のプロローグを。
(一部ライナーノーツより抜粋、編集)

コーヒーでくつろぎの時間を愉しむという習慣がヨーロッパに広まりはじめた頃に、
若者が集うドイツのライプツィヒで聖トーマス教会の聖歌隊監督(お堅い仕事)を務めてた、バッハ。 

若者が集うライプツィヒのカフェ「ツィマーマン亭」では、
コーヒーを楽しむだけでなく、
学生中心のバンドが舞台に上がり、定期的にコンサートを開催していました。

そのバンドを率先して指揮していたのが・・

バッハその人です。

お堅い仕事のみならず、
音楽を通して「愉しむ」事を忘れなかったバッハ。 


そんなバッハの合奏曲を弾こうとする時、
今の楽器での表現とは異なる、18世紀当時の楽器と奏法を使い再現してみせる人たちがいます。

古楽器集団「カフェ・ツィマーマン



そんなカフェ・ツィマーマンの限定BOX、
6枚組みのCDがようやく届きました。

DSC_4892
 
僕もコーヒーをいただきながら楽しんでます。

カフェ・ツィマーマンのメンバーで、
フルート奏者の Diana Baroni

僕とDianaの出会いは、金閣寺への観光途中に立ち寄ってくれたウチの工房。
器をドッサリ買って帰ってくれました。

その後、メールやfacebookで交流してる友達。 

買ってくれた時には
「世界中を旅してるけど、こんな素敵な器見た事ないわ」と言ってくれました。

最近のメールでは、
「・・the most beautiful tee caps in my home are yours・・
we drink on it every day!」 と。

めっちゃ嬉しい〜!

「フランスに来る時は声かけてね〜」とも。


あの日、あんな素敵な来客があるとは思いもしなかった。
こんな温かい気持ちでバッハを聴くとも思わなかった。

人生はライブ!


ともあれ、
このCD、オススメです。

まず、素っ晴らしい音質。
そして、古楽器のあったかい音。

一枚3,000円のCDが6枚入りのBOXで、6,000円!

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       かなりお買い得。


単にクラッシックとしてではなく、
自分とフルート奏者の物語として聴くと、
時空を越えて、とても身近に感じる事が出来ました。

皆さんも、
日本語解説付きをご購入いただくと、より楽しめるかと思います。


Dianaのフルートも最高にカッコ良いです!

フルートの他に、Diana Baroni TRIOとして歌手活動もしています。


機会がございましたら、聴いてみてください。 
(右側にバナー設置してあります。)




Diana、再会を楽しみにしてるよ〜!




京都の引き出物は 工房えんじゅ





studioenju at 00:19|Permalink

2011年12月11日

amazing!


DSC_4950
        (クリックで拡大出来ます)



望遠で観ると又世界がかわりますね。


余談ですが、
僕、気象天文部でした。
(同級生でも覚えてる人は少ないだろうなぁ)


手づくりのプラネタリウムも作った事あるんですよ〜





京都の引き出物は 工房えんじゅ





studioenju at 00:38|Permalink

2011年12月10日

ドイツ・オーストリア 2011/窓 part 3


旅行で撮りためてきた「窓」の写真 part 3(最終回です)

興味を持ってくださった方も、
そうでない方もお付き合いありがとうございました。


少し間を置いて、
雰囲気の良かった「看板」も紹介させていただきます。



では、
「窓」の最終回、いきましょう!






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とてもシンプルなんですけど、
撮ってきた中でベスト3に入る好きな窓。
壁や枠の色と質感が、僕の中で抜群のバランスなんです。







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   ちょっと見にくいですが「職人の家」の庭。
   木の雨戸が素敵でした。







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 宙からの光が極彩色を通して祈る人々にそそがれます。
 






DSC_2711

  閉めてる部屋、開けてる部屋、半分だけ開けてる部屋。 







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      緻密なデザインの窓格子。
      窓も凝ってます(COOL!)







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ちょこちょこっと見える緑が良いアクセントに。
日本にもピンクの壁ってあるけど、どうしてカッコ良くならないんでしょうね?







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     石壁とガッチリと閉まった雨戸。
     壁とマッチした緑ですね。 







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   前回も書きましたけど、
   アーチ形って直線よりも施工が手間なんですよ。
   勿論、金網の戸だって "アーチ" になってます。












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     小屋をパチリ。 壁も木で温かい。







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  外側もガラス窓になってて、
  真ん中の四角い部分がデザインされた窓。
  ねらったのかなぁ?







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     遊び心満載で思わず笑みが。
     ウチにも、こんな窓が欲しいです。 




あ〜
どれも場所とか建物思い出せるんですよねぇ〜


窓のむこうには、
知らない人の知らない生活があるんですけど、

不思議と親近感を抱く「物語」を感じました。

「やっぱ自分の家が一番落ち着くよね〜」
なんて声が窓から聞こえてきそうでした。





以上で「2011/窓」終らせていただきます。


次回、「看板」もよろしければお付き合いくださいね。 





京都の引き出物は 工房えんじゅ



 


studioenju at 21:12|Permalink

ドイツ・オーストリア 2011/窓 part 2


旅行で撮りためてきた「窓」の写真 part 2 


こんなん好きなの僕だけなんかなぁ〜って思ってたら、
意外に好感触なメッセージもいただきまして。。

調子に乗っての第2弾です。


では、いきましょう!





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   こんなに太いアイアンはこの窓だけだったなぁ。
   よくみると凝った造りになってますね〜






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     夕食時にこっそり撮らせてもらいました。
         あかりが可愛い。






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  僕たちがこのてのデザインする時って、
  こういうのを参考にしちゃうと思うんですけど、
  昔は自然だったり動物だったり、
  命あるものからおこしたデザインなんですよね〜







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      ハルシュタット湖畔の舟屋の家。 
      天気も良かったので、窓全開。 







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      ザルツブルグ城内で営業してたカフェ。 
      日本でもよく見かけるデザイン。 






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        モーツァルトの生家。 







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       住人さんGoodセンス! 
       このアイデア、いただきます。 






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          石壁と木枠窓。 
          中世の雰囲気。 






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       あちらでよく見かける定番窓。
 







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     これも夕食時に撮らせていただきました。 
       どの家も暖色なんですよね〜  






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    施工はひと手間かかりますが、アーチの戸や窓 好きです。 








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     窓のグラデーションなのか、
     カーテンのグラデーションなのか。
       (カーテンです)







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      石壁と緑が織り成す自然のアート。





第2弾、ここら辺で。


次回、「窓」最終回。






京都の引き出物は 工房えんじゅ





studioenju at 00:50|Permalink
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